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「台北どこに泊まる?」を解決!旅の目的別エリア診断

こんにちは。もうかれこれ20年以上、台湾という土地の魅力に取り憑かれているブロガーのKenjiです。初めて台北の空港に降り立った時の、むわりと肌を撫でる湿った空気と、街中に満ちるエネルギッシュな喧騒、そして道端の食堂から漂う八角の香り。今でも目を閉じれば、昨日のことのように思い出せます。
さて、あなたも今、初めての、あるいは久しぶりの台湾旅行を計画していて、高まる気持ちを抑えきれない頃ではないでしょうか。航空券も予約した。ガイドブックを眺めて、行きたいお店もいくつかリストアップした。しかし、多くの旅人が最初にぶつかる、巨大な壁があります。それは…「結局、台北のどこに泊まるのが一番いいんだろう?」という、シンプルながら非常に悩ましい問題です。
中山、西門、東門、台北駅…地図アプリを開けば、見慣れない地名と無数のホテルがひしめき合い、正直なところ、どこがどう違うのかなんて、初心者の方にはさっぱり分からないはず。何を隠そう、私自身がそうでした。20代の頃の初めての台北旅行では、ただ「安い」という理由だけで宿を選んでしまい、結果的に最寄り駅から遠く、行きたい場所とは逆方向。移動にばかり貴重な時間と体力を奪われ、「もっとちゃんと調べておけば…」と後悔した、ほろ苦い経験があるのです。
この記事は、そんな過去の私の失敗と、それから20年以上、数え切れないほど台北の街を歩き続けた経験から導き出した、「あなたにとっての最適なエリア選び」の答えを、余すところなくお伝えするために書きました。これは単なる情報の羅列ではありません。私が実際に歩き、食べ、感じ、時には道に迷いながら見つけ出した、血の通った情報だけを、心を込めて詰め込んでいます。この記事を読み終える頃には、あなたはきっと、無数の選択肢に惑わされることなく、確信を持って台北の宿を予約できるようになっているはずです。
記事のポイント
- 3つの質問に答えるだけであなたに最適な宿泊エリアがわかる
- 初心者からリピーターまで、旅の目的やスタイルに合った場所が見つかる
- 各エリアのリアルなメリット・デメリットを正直に比較できる
- 意外と知らない、ホテル予約前に確認すべき最新の注意点がわかる
旅のプロが診断!「台北 どこに泊まる」の最適解

このセクションでわかること
さて、ここからはいよいよ本題です。星の数ほどある選択肢の中から、あなたにとっての「正解」を見つけ出すためのステップに入っていきましょう。やみくもにホテル予約サイトを眺めても、情報の大海原で溺れてしまい、時間だけが過ぎていくのが関の山。まずは、あなた自身の旅の輪郭を、くっきりと浮かび上がらせることが、何よりも大切なんです。
ここでは、私がいつも新しい旅を計画する時に、必ず自分自身に問いかける、いわば「魔法の質問」をあなたにも投げかけたいと思います。この簡単な自己診断に答えるだけで、驚くほどあなたに合ったエリアが、靄の中から姿を現すように見えてきますよ。
あなたの旅を設計する3つの質問

ホテル選びは、単に夜に寝る場所を決める行為ではありません。それは、あなたの旅という物語全体の骨格を設計する、最も重要な工程だと私は考えています。この設計図が曖昧なままだと、どんなに素晴らしい素材(行きたい場所)を集めても、せっかくの旅行がどこかチグハグで、満足度の低いものになってしまう可能性があるのです。
ホテル予約サイトを開くと、台北市内だけでも数千軒のホテルが表示されます。(※大手予約サイトBooking.comによると2025年9月現在、台北市内で検索ヒットする宿泊施設は約2,000件以上)無数の知らない地名と写真の洪水に、「もう、どこでもいいや…」と途方に暮れてしまう気持ち、本当によく分かります。
でも、ご安心ください。その地図や予約サイトを、一旦閉じてしまいましょう。無数の選択肢というノイズから抜け出す、一番の近道。それは、思考のスタート地点を「場所」から「あなた自身」へと切り替えることです。これからお話しする3つの質問は、あなたの心の中にある、理想の旅の輪郭を浮かび上がらせるためのフィルターです。正解も不正解もありませんから、心の声を素直に聞くだけで大丈夫です。
誰との旅行ですか?
まず最初に考えるべきは、旅の仲間です。例えば、気の置けない友人との女子旅なら、夜まで安心してショッピングやカフェ巡りができる、お洒落で心ときめくエリアが求められます。一方で、気ままな一人旅であれば、多少不便でもローカルな人々の息遣いが聞こえるような、味わい深い路地裏に惹かれるかもしれません。そして、小さなお子さんを連れた家族旅行となれば、安全性や移動のしやすさ、子供が飽きない環境が何よりも優先されるべきでしょう。同行者が変われば、旅の最適解も全く異なるものになるのです。台北市政府観光伝播局の調査でも、旅行者の同行者構成によって人気のある地区や活動内容が大きく異なるというデータが出ています。
旅の目的で譲れないものは?
次に、今回の旅で「これだけは絶対に外せない!」と心に誓う、譲れない目的を一つ、思い浮かべてみてください。それは、小籠包に魯肉飯、マンゴーかき氷といった台湾グルメの食べ歩きでしょうか?それとも、最新のMIT(Made in Taiwan)ブランドや可愛い雑貨を探し求めるショッピング?あるいは、故宮博物院や中正紀念堂といった、悠久の歴史に触れることかもしれません。「全部やりたい!」という気持ちは痛いほど分かりますが、最も優先したいことを一つだけ決めるだけで、あなたの旅の拠点は驚くほど明確に絞られてきます。例えば、「グルメ最優先!」と決めれば、無数のお店が密集する「東門(永康街)」エリアが最有力候補に躍り出てくる、といった具合です。
重視するのは価格?それとも快適性?
最後は、少し現実的なお金と時間の話です。もちろん、旅の予算には限りがあります。しかし、「安さ」という一点だけを追い求めると、駅から遠くてタクシー代が嵩んだり、部屋が狭くて旅の疲れが癒やされなかったり…といった、予約サイトの料金表示には現れない「目に見えないコスト」を支払う羽目になることも。逆に言えば、一日あたり3,000円予算を上乗せするだけで、移動時間を往復で1時間短縮でき、その浮いた時間で憧れのカフェに立ち寄れたりもします。あなたが今回の旅で、価格と快適性、どちらに重きを置くのか。このバランス感覚が、エリア選びの最後の決め手となるのです。
筆者どうでしょう?この3つを自問自答するだけで、ぼんやりとしていた「泊まりたい場所」のイメージが、少し具体的になってきませんか?自分の軸が定まれば、もうエリア選びは半分以上終わったようなものです。ここからは、その軸に沿って具体的なエリアを見ていきましょう。
【初心者/女子旅】中山で叶える完璧プラン


もしあなたが、「初めての台湾旅行で絶対に失敗したくない!」あるいは「友達との女子旅で、お洒落で安全な場所に泊まりたい!」と心から願っているなら、結論から言って、私は迷わず「中山」エリアをおすすめします。
多くの初心者が「交通のハブだから」という理由で台北駅周辺を選びがちですが、実はそこに落とし穴があります。台北駅はあくまで移動のための場所。街歩きの楽しさや、夜の安心感といった、特に女性が重視するであろう旅の情緒は、正直言ってあまり感じられません。その点、中山はまさに完璧な答えです。
言ってしまえば、中山は台北の「銀座」と「代官山」を足して2で割ったような場所。三越やオークラホテルといった日系の施設が並ぶ安心感と、一本路地裏に入れば「赤峰街」に代表される、センスの良い個人経営のカフェや雑貨店が点在する発見の楽しさ。この洗練された雰囲気と、ローカルな魅力が絶妙にミックスされているのが、中山の最大の魅力でしょう。
なぜ「中山」が初心者にとって最強なのか
私が中山を、特に初めて台湾を訪れる女性に強く推す理由は、主に3つあります。
- 圧倒的な安心感と清潔感:日系のデパートやホテルが多く、日本語が通じるスタッフがいる場所も少なくありません。街全体がクリーンで、街路樹の緑も豊か。夜でも大通りは明るく人通りが多いため、女性だけでも安心して歩ける雰囲気は何物にも代えがたい価値があります。
- 抜群の交通アクセス:MRT(地下鉄)のレッドラインとグリーンラインが交差する中山駅は、主要な観光地へのアクセスが本当に便利です。台北のハブである台北駅まで一駅、人気のグルメタウン永康街がある東門駅や、台北101へも乗り換えなしで一本。貴重な旅の時間を、移動で無駄にすることがありません。
- 無限に広がる街歩きの楽しさ:前述の通り、とにかくお洒落なカフェやショップが多い。目的もなくブラブラ歩いているだけで、「あ、ここ素敵!」と思えるお店に次々と出会えるはずです。歩き疲れたらすぐに雰囲気の良いカフェで休憩できるのも、女子旅には嬉しいポイントではないでしょうか。
中山拠点の「完璧な1日」をシミュレーション
「完璧プラン」と銘打ったからには、もう少し具体的にご紹介しましょう。例えば、中山に泊まればこんな一日が過ごせます。
- 午前:まずは「赤峰街」のカフェで朝活からスタート。古い町工場をリノベーションした『光一敘集』のようなカフェで、陽の光を浴びながらブランチを楽しむ時間は最高です。
- 夕方~夜:少し足を延ばして、活気あふれる『寧夏夜市』まで歩いてみましょう(徒歩約15分)。B級グルメの食べ歩きでお腹いっぱいになったら、帰り道に評判の良いマッサージ店『元気養生會館』などで旅の疲れを癒やす…。
どうでしょう。まさに、ガイドブックに載っている台北の「やりたいこと」を凝縮したような一日が、このエリアを拠点にするだけで、いとも簡単に実現してしまうのです。
中山エリアのホテル相場とおすすめ
中山エリアのホテルは価格帯が広いですが、清潔感と利便性を両立した、いわゆる「きれいめビジネスホテル」や「デザインホテル」クラスだと、1泊あたり15,000円~25,000円程度が相場感です。もちろん、時期や予約タイミングによって変動はあります。
例えば、『オークラプレステージ台北』のような高級ホテルから、『ロイヤルイン台北南西』のような日系で安心のビジネスホテル、そして『アールジー ホテル 中山』のようなデザイン性の高いコンパクトホテルまで、予算と好みに合わせて多様な選択肢があるのも、中山の大きな魅力です。



「失敗したくない」という気持ちが強いなら、もう中山を選んでおけば間違いありません。友達にも「すごく良いホテル見つけてくれたね!」って褒められるはずですよ。
さて、心は中山に決まりましたか?
地図を見ながら料金や口コミを比較できるので、「このカフェの近くがいいな」「MRTの駅から徒歩5分以内がいいな」といった、あなたのわがままな願いを叶えるホテルがきっと見つかりますよ。まずは下のボタンから、どんなホテルがあるかだけでも覗いてみてください。見ているだけで、旅の計画がもっと楽しくなるはずです。
【子連れ】移動が楽な台北ホテルのおすすめ場所


小さなお子さんを連れての海外旅行は、楽しい思い出が増える反面、大人だけの旅とは全く違う種類の気遣いや準備が必要になりますよね。私にも経験がありますが、子供の体力や機嫌、そして何より安全を最優先に考えた計画を立てなければなりません。特に慣れない海外となれば、お母さん、お父さんの心配事は尽きないと思います。
そんなご家族での旅行に、私が自身の経験から自信を持ってお勧めしたいのは、賑やかな中心地から少しだけ距離を置き、落ち着いた空気が流れるMRT「大安森林公園」駅の周辺エリアです。
なぜこの場所なのか。それは、このエリアが子連れ旅行の「あったらいいな」を全て満たしてくれる、まさに理想郷のような場所だからです。ただ「公園が近いから」という単純な理由ではありません。親目線で見た、具体的なメリットがいくつも存在するのです。
なぜ「大安森林公園」エリアがファミリーに最適なのか
最大の魅力は、駅の名前にもなっている「大安森林公園」という広大なオアシスの存在。ここは「台北のセントラルパーク」とも呼ばれる市民の憩いの場で、子供が裸足で思いっきり走り回れる芝生広場や、日本では見かけないようなユニークな大型遊具が揃っています。観光の合間に、ここで少し遊ばせるだけで、子供のストレスはかなり軽減されるはず。豊かな緑は、旅の疲れが溜まってきた大人の心も、優しく癒やしてくれます。
しかし、私がこのエリアを推す理由はそれだけではありません。
- 治安と環境:台北有数の高級住宅街でもあるため、非常に落ち着いた雰囲気で治安もトップクラス。歩道が広くフラットに整備されている場所が多いので、ベビーカーを押しての移動も本当にスムーズです。
- 優れたアクセス:MRTレッドライン(淡水信義線)が通っているため、台北101や永康街(東門駅)といった人気スポットへも乗り換えなしでアクセスできます。ちなみに、台北MRTは全駅にエレベーターとエスカレーターが完備されており、ベビーカーでの移動も安心です。
子連れ旅行で、私が少し懸念するエリア
逆に、私が小さなお子さん連れの方にあまりお勧めしないのが、若者で賑わう「西門町」です。夜遅くまで大音量の音楽と多くの人でごった返しており、週末はまっすぐ歩くのも大変なほど。また、歩道が狭い場所や段差も多いため、ベビーカーでの移動には正直言って向きません。大人が楽しむには刺激的な街ですが、家族でゆったりと安全に過ごすには、少し落ち着かないかもしれません。
親御さんの「万が一」に応える周辺環境
そして、ここが最も重要なポイントかもしれません。旅先でのお子さんの急な体調不良は、親にとって最大の心配事。その点、大安エリアは非常に心強い環境が整っています。
エリア周辺には、日本語対応が可能な病院やクリニックが複数存在します。例えば、『中心診所綜合醫院』などは、多くの在台日本人にも利用されている総合病院です。また、『康是美(COSMED)』や『ワトソンズ(Watsons)』といったドラッグストアも点在しており、子供用の解熱剤や絆創膏などをすぐに手に入れることができます。
さらに、ホテル選びの観点からも、この大安エリアにはバスタブ付きの部屋や、3人以上で泊まれる広めのファミリータイプの客室を持つホテルが見つけやすいという隠れたメリットもあります。『パーク台北ホテル』や『ダンディホテル大安森林公園店』などは、その代表例です。
観光地を効率よく巡る旅も良いですが、子供のペースに合わせて公園でゆっくり過ごす時間を取り入れ、万が一の際も安心できる環境で過ごす。大安森林公園エリアは、そんな新しい家族旅行のスタイルを可能にしてくれる、懐の深い場所なのです。



旅の計画段階で、近くの病院やドラッグストアをGoogleマップにピン留めしておくだけで、心の余裕が全く違ってきますよ。それが、家族全員の笑顔を守る、何よりのお守りになりますから。
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【リピーター】大稲埕で暮らすように旅する


中山の便利さも知っている。西門の賑やかさも体験した。台北駅が交通の要所であることも、もちろん分かっている。…でも、もう何度目かの台北で、そろそろ「観光客」としてではない、もっと深い旅がしてみたい。あなたがもしそう考えているのなら、その気持ち、痛いほどよく分かります。私も、同じ道を辿ってきましたから。
そんな、ガイドブックのページをめくることに少し飽きてしまった旅慣れたあなたに、私が心の底からお勧めしたい、とっておきの場所。それが台北の古き良き魂が宿る街、「大稲埕(ディーホアジエ)」です。
ここは、かつて台湾で最も栄えた商業の街。今でも、漢方薬や乾物、からすみ、高級茶葉などを扱う老舗の問屋が軒を連ね、一歩足を踏み入れると、様々な香りが混じり合った、懐かしくもエキゾチックな匂いに包まれます。赤レンガで造られたバロック様式のレトロな建物が続く街並みは、まるで映画のセットの中に迷い込んだかのよう。正直なところ、MRTの最寄り駅(北門駅や大橋頭駅)からは10分ほど歩きますし、夜は驚くほど人通りが少なくなり、とても静かです。利便性だけを考えれば、他のエリアに軍配が上がるでしょう。
しかし、ここには、利便性と引き換えにしても余りある、本物の「台湾の日常」が、今もなお色濃く息づいています。
大稲埕の「朝の顔」と「夜の顔」
あなたが求めているのは、きっと具体的な「生活者目線」の情報のはず。そこで、この街の二つの顔をご紹介します。
朝の顔:
私が初めて大稲埕に泊まったある朝のこと。まだ観光客もまばらな薄暗い時間に、カメラを片手に目的もなく散歩に出かけました。すると、地元のおじいさんたちが次々と吸い込まれていく、何の変哲もない小さな食堂が目に留まったのです。勇気を出して入ってみると、そこは絶品の鹹豆漿(しょっぱい豆乳スープ)を食べさせてくれる名店でした。言葉はほとんど通じなくても、店主のおばあちゃんが身振り手振りでラー油の入れ方を教えてくれた、あの温かさ。あの一杯の豆漿の滋味深い味は、どんな高級レストランのフルコースよりも、私の旅の記憶に深く、そして鮮やかに刻まれています。このエリアには、『妙口四神湯』のような早朝から営業している肉まんの名店や、慈聖宮の前にずらりと並ぶ屋台群など、地元民に愛される朝食スポットが無数に存在します。
夜の顔:
日が落ちると、大稲埕はまた違う表情を見せます。観光客向けの夜市とは一線を画す、地元民のための食の宝庫です。特におすすめしたいのが、「熱炒(ラーチャオ)」と呼ばれる台湾式居酒屋。例えば『阿財徳利熱炒』のようなお店では、1皿100元(約470円)程度から新鮮な海鮮や肉野菜炒めが楽しめ、台湾ビールを片手に地元の家族連れや仕事帰りのグループが陽気に語らっています。この喧騒に身を置けば、あなたも一瞬で「旅人」から「生活者」へと変われるはずです。
リピーターだからこそ知っておきたい注意点
このエリアを120%楽しむために、正直なデメリットもお伝えします。まず、前述の通りMRT駅からは少し歩きます。そして、ローカルな食堂では日本語はもちろん、英語メニューもないことがほとんど。指差しや簡単な筆談、翻訳アプリがコミュニケーションの生命線になります。夜道も中心部に比べて暗い場所が多いので、女性一人の場合は大通りを選ぶなどの配慮が必要です。しかし、これらの不便さすらも楽しめるのが、リピーターの特権かもしれません。
近年は、そんな古い建物をリノベーションしたお洒落なカフェやデザインホテル(『オリジン ホテル』など)、個人経営のセレクトショップも増えてきており、新旧の文化が美しく混じり合う、独特の雰囲気を醸し出しています。定番の観光地を巡るのではなく、朝は市場の活気に触れ、昼は静かな茶藝館で時を忘れ、夜は熱炒の喧騒に酔いしれる。そんな「暮らすような旅」を体験したいなら、大稲埕以上の場所はないと、私は断言します。



まぁ、正直なところ、初めての方には少しハードルが高いかもしれません。でも、この街の奥深い魅力に気づいてしまったら、もう他の便利なだけのエリアには泊まれなくなる…そんな中毒性のある場所ですよ。
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エリア比較で探す「台北 どこに泊まる」ベストな選択肢


このセクションでわかること
- 【一覧表】5大エリアを時間と体験価値で辛口採点
- 【交通のハブ】台北駅エリアのメリット・デメリット
- 【若者の街】西門エリアは本当に泊まるべき?
- 【2025年最新】予約前に必須の台湾ホテル注意点
- あなたの物語が始まる「台北 どこに泊まる」の答え
さて、ここまであなたの旅のスタイルに合わせたおすすめエリアをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。「なるほど、自分にはこのエリアが合っていそうだ」と感じていただけたなら幸いです。もしかしたら、「他のエリアのことも、もっと詳しく知りたい!」と思われたかもしれませんね。
ここからのセクションでは、これまで紹介したエリアも含め、台北の主要な5つのエリアを、より客観的な視点で徹底比較していきます。ただし、私が重視するのは、単なる価格やガイドブック的な利便性だけではありません。あなたの貴重な「時間」と、そこでしか得られない「体験価値」という、旅のコストパフォーマンスを最大化する独自の視点で、各エリアを正直に評価していきたいと思います。
【一覧表】5大エリアを時間と体験価値で辛口採点


さて、比較表をお見せする前に、少しだけ私の「物差し」についてお話しさせてください。私がホテル選び、ひいては旅のプランニングにおいて最も重視しているのは、「時間効率」と「体験価値」という2つの軸です。この2つを最大化することが、最高のコストパフォーマンスに繋がると信じています。
私の物差し①:時間効率
これは、単に「駅から近い」とか「移動時間が短い」といった単純な話ではありません。私が考える時間効率とは、「旅の目的を達成するために費やす、ストレスを含めた全ての時間的コスト」のことです。例えば、台北駅は交通の便では最強に見えますが、駅自体が巨大すぎて、MRTのホームからホテルのある出口まで10分以上歩くこともざら。これは、体力を消耗する立派な「時間的コスト」です。逆に、駅から少し離れていても、ホテルの周りに魅力的なお店が多ければ、移動時間そのものが楽しい「散策時間」に変わります。このように、数字には表れない時間の質まで含めて評価することが重要です。
私の物差し②:体験価値
そしてもう一つが、体験価値。これは、「その場所でしか味わえない空気感、五感を刺激する発見、そして旅の記憶として深く刻まれる原体験」と言い換えられます。お洒落なカフェで美味しいコーヒーを飲む体験は他の国でもできますが、大稲埕の朝の散歩で感じる漢方薬の香りや、地元の人しかいない食堂で交わす片言の会話は、まさにそこでしか得られないプライスレスな価値です。私は、この体験価値こそが、旅を単なる物見遊山から、人生を豊かにする経験へと昇華させてくれると信じています。
この2つの物差しを念頭に置き、以下の比較表とエリアマップをご覧ください。特に初めてで土地勘がない方にとっては、まず地図で視覚的に位置関係を把握するだけで、ぐっと理解が深まるはずです。それぞれのエリアが、あなたの旅にとってどのような価値をもたらしてくれるのか、より深く読み解いていきましょう。
【エリアマップ】主要5エリアと観光地の位置関係
(各エリアのおおよその位置関係。赤い星は人気観光スポットの例)
| エリア名 | 時間効率 | 食事の選択肢 | ショッピング | 街の雰囲気 | 体験価値 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中山 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | お洒落・安心 | ★★★★☆ |
| 台北駅 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ビジネス・雑多 | ★★☆☆☆ |
| 西門 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 若者・賑やか | ★★★☆☆ |
| 東門 (永康街) | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | グルメ・落ち着き | ★★★★☆ |
| 大稲埕 | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | レトロ・静か | ★★★★★ |
補足:表の中の「東門」は、小籠包の超有名店「鼎泰豊」本店があることで知られる「永康街」を含むエリアです。グルメ好きにはたまらない場所ですが、ホテル数は他の主要エリアに比べてやや少なめです。
【交通のハブ】台北駅エリアのメリット・デメリット


台北駅周辺エリアは、一言で言えば「交通の利便性に全振りした場所」です。台湾の新幹線(高鉄)や在来線(台鉄)、複数のMRT路線、そして桃園空港へと直結する空港MRTや、台湾各方面へのバスターミナルが全てここに集結しています。まさに台湾の心臓部と言えるでしょう。
メリットは、言うまでもなく圧倒的な交通アクセス。ここを拠点にすれば、台北市内はもちろん、ノスタルジックな街並みが人気の九份や、猫好きの聖地・猴硐、そして台中や台南といった地方都市への日帰り旅行も非常にスムーズに計画できます。フットワーク軽く、広範囲に動きたいアクティブな旅には、これ以上ない立地です。
一方で、デメリットも深く、そして正直に理解しておく必要があります。多くの初心者が陥りがちな「交通の便が良い=最高の場所」という思い込みは、時として後悔に繋がる可能性があるのです。
台北駅エリアのリアルな注意点
- 駅構内の巨大さと複雑さ:台北駅は、地上と地下に広がる巨大なダンジョンです。MRTのホームから予約したホテルの最寄り出口(Y区やZ区など)まで、地下街を10分以上歩くことも珍しくありません。特に大きなスーツケースを持っていると、この移動がかなりのストレスになります。
- 旅の情緒の欠如:駅周辺はオフィスビルや予備校、政府機関が多く、「旅に来た」という非日常的な高揚感や、街歩きの楽しさは正直言ってあまり感じられないかもしれません。夜はビジネス街特有の静けさが漂い、魅力的な食事場所の選択肢も中山などに比べると限られます。
- 地上の交通量:駅周辺の主要道路は常にタクシーやバス、バイクで溢れています。交通量が非常に多いため、特に小さなお子さん連れの場合は、道を渡るだけでもかなり気を使う必要があります。
早朝・深夜便ユーザーは台北駅を選ぶべきか?
ここで、フライトの時間から逆算して宿を考える、という少し専門的な話をさせてください。特に、早朝便や深夜便を利用する方にとって、台北駅周辺は他のエリアにはない、絶対的な強みを発揮します。
例えば、桃園空港を朝8時に出発するLCC便に乗る場合、2時間前の朝6時には空港に到着したいところ。空港MRTの普通車の始発は台北駅を朝6時頃に出発し、所要時間は約50分です。これに乗れば、7時前には余裕をもって空港に到着できます。これがもし他のエリアのホテルだと、始発に乗るために早朝5時過ぎからタクシーを飛ばす必要があり、余計な出費と「捕まるだろうか」という気苦労が増えてしまいます。
深夜に到着する場合も同様です。台北駅を拠点にしておけば、空港から国光客運の深夜バス(1819番線など)で移動した後、ホテルまでの最後の足が非常に楽になります。旅の計画は、自宅を出てから帰宅するまで。フライトの時間まで考慮して拠点を選ぶのが、賢い旅人のテクニックです。
結論として、台北駅エリアは、地方都市への日帰り旅行を複数計画している方や、早朝・深夜便を利用する方など、明確な目的がある場合には最高の選択肢となります。しかし、台北市内での滞在や街歩きそのものを楽しみたいのであれば、他のエリアの方が満足度は高くなる可能性が高い、と私は考えています。
【若者の街】西門エリアは本当に泊まるべき?


この問いに対する私の答えは、「あなたが何を求めるかによりますが、40代の私であれば、今はもう泊まらない」というのが、やはり正直なところです。
西門は、よく「台北の原宿・渋谷」と形容される、エネルギーに満ち溢れた街。大きなスクリーンにアイドルの映像が流れ、ファッションビルやコスメショップ、映画館、そして巨大なフライドチキンやタピオカミルクティーの屋台がひしめき合っています。平日休日を問わず、夜遅くまで若者たちの熱気でむせ返るようです。事実、台北市政府観光伝播局の調査でも、西門町は10代〜20代の訪問者比率が他のエリアに比べて突出して高いというデータがあります。安価なゲストハウスやデザインホテルも多く、とにかくパワフルで刺激的な体験を求める方にとっては、これ以上ないほど魅力的な場所でしょう。
しかし、前述の通り、その熱気は時として「騒がしさ」や「雑多さ」にも繋がります。落ち着いた環境で一日の疲れを癒やしたいと考えている方や、静かな夜を過ごしたい方にとっては、少しストレスを感じてしまうかもしれません。特に、大通りから一本入った路地のホテルでも、夜中まで外の若者の声や音楽が聞こえてくる、なんてことも珍しくありません。
上級者向けの「ハイブリッド案」
もちろん、これはあくまで私の個人的な感想です。20代の頃に初めて西門に泊まった時は、そのカオスな魅力に心を鷲掴みにされ、毎晩のように夜市をはしごして、朝方まで仲間と語り明かしたものです。
もし、あなたが西門のエネルギーに触れたいけれど、夜の喧騒は避けたい、という少し欲張りな考えをお持ちなら、こんな選択肢もあります。それは、中心部の喧騒から徒歩5〜10分離れた「北門駅」周辺や、ランドマークである「西門紅樓」の裏手エリアを狙うという方法です。このあたりまで来ると、夜は比較的静かな環境が見つかります。西門の熱気を楽しみつつ、夜はしっかり休む。そんな「良いとこ取り」ができる、少し上級者向けの選択と言えるかもしれません。
あなたがもし、旅に眠らない刺激とエネルギーを求めるのであれば、西門は最高の選択肢になり得ます。ただ、もしあなたの旅の目的に、少しでも「落ち着き」や「旅の情緒」といったキーワードが含まれるのであれば、他のエリアを検討してみることを、旅の先輩としてお勧めします。



結局のところ、街に良い悪いはありません。あるのは、今の自分との相性だけなんですよね。今の私には、西門のエネルギーは少し眩しすぎる、というわけです。
【2025年最新】予約前に必須の台湾ホテル注意点


さて、泊まりたいエリアの目星がついたら、いよいよホテル予約の最終段階です。しかしその前に、特に最近台湾を訪れていない方に、これだけは知っておいてほしい重要な注意点がいくつかあります。これを知らないと、現地で「え、そうなの!?」と地味に慌てることになりかねないので、必ずチェックしておいてください。
2025年~アメニティが有料に
これは、今後の台湾旅行の常識を覆す、非常に重要な変更点です。台湾では環境保護の観点から、2025年1月1日より、ホテルの客室での使い捨てアメニティの無料提供が段階的に禁止されることになりました。
具体的には、歯ブラシ、歯磨き粉、シャワーキャップ、カミソリ、クシといった、いわゆる「使い捨て」のアメニティ類が、部屋に常備されなくなります(有料で提供されるケースはあります)。シャンプーやボディソープは、備え付けの大型ボトルタイプが主流になる見込みです。
このため、2025年以降に台湾へ旅行する際は、これらのアメニティを自分で持参するのが基本スタイルとなります。環境に配慮した素晴らしい取り組みですが、うっかり忘れると現地調達の手間が増えますので、荷物を準備する際は、忘れないように注意してください。(参照:台湾環境部公式サイト ※英語・中国語)
トイレットペーパーは流していい?
昔の台湾旅行のガイドブックには、決まって「トイレットペーパーは便器に流さず、横にあるゴミ箱に捨てる」と書かれていました。これは、下水管が細く、水に溶けにくい再生紙が使われていたために、紙が詰まりやすかったという歴史的経緯があります。
しかし、これはもう過去の話になりつつあります。近年のインフラ整備と紙質の向上により、台北市内のほとんどのホテルやデパート、新しい公共施設では、トイレットペーパーをそのまま便器に流しても全く問題ありません。
ただし、リノベーションされた古い建物を利用したカフェや、一部のローカルな食堂、地方のゲストハウスなどでは、まだ壁に「ゴミ箱へ」という表示が残っている場所もあります。基本的には「郷に入っては郷に従え」の精神で、表示がある場合はそれに従うのがスマートです。もし表示がなければ、基本的には流して大丈夫だと考えてよいでしょう。
コンセントと電圧は?変圧器は必要?
意外と忘れがちですが、非常に重要なのが電源周りの話です。
結論から言うと、日本の電化製品は台湾で「ほぼ」そのまま使えます。
- コンセントの形状:台湾のコンセントは日本と同じ「Aタイプ」です。形状が同じなので、変換プラグは必要ありません。
- 電圧:台湾の電圧は110V、周波数は60Hzです。日本の電圧は100Vなので少し差がありますが、最近のスマートフォンやカメラの充電器、ノートパソコンのACアダプターは、100V〜240Vに対応している「ユニバーサル仕様」がほとんど。お持ちの充電器の表示を確認し、「INPUT: 100-240V」といった記載があれば、変圧器なしでそのまま使用できます。
ただし、ドライヤーやヘアアイロンなど、熱を発する一部の古い製品は100V専用の場合があります。これを台湾で使用すると故障や火災の原因になるため、必ず対応電圧を確認してください。心配な方は、海外対応の製品を持っていくか、ホテルの備え付けのものを利用するのが安全です。
デポジット(保証金)を忘れずに
日本のホテルではあまり馴染みがありませんが、台湾の多くのホテルでは、チェックイン時に「デポジット(保証金)」を求められます。これは、客室の備品破損やミニバーの利用などに備えるための一時的な預り金です。
金額はホテルのランクによって異なり、1泊あたり1,000〜3,000台湾ドル(約4,700円〜14,000円)程度が一般的。支払いは現金かクレジットカードで行います。
クレジットカードで支払うのが最もスマートですが、カードを持っていない場合や、現金で支払いたい場合は、チェックイン時にある程度の台湾ドル現金を手元に用意しておく必要があります。もちろん、何も問題がなければ、チェックアウト時に全額返金(またはカードの請求キャンセル)されますのでご安心を。



こうした細かい点も、事前に知っておくだけで、現地での不要なストレスがぐっと減ります。準備万端で、心置きなく旅を楽しんでくださいね。
あなたの物語が始まる「台北 どこに泊まる」の答え
ここまで長い時間、お付き合いいただき本当にありがとうございました。台北の様々なエリアの特徴から、少しマニアックな注意点、そして私の個人的な旅の哲学まで、今持っている知識と経験を全てお伝えしてきました。
最終的にどのエリアを選ぶかは、もちろんあなたの自由です。この記事は、あくまであなたの決断を後押しするための、一つの材料にすぎません。何よりも大切なのは、あなたが「今回の旅で何を一番大切にしたいか」という、自分自身の心の声に、じっくりと耳を傾けることです。
宿泊エリアを決めるという行為は、単なる事務的な作業ではありません。それは、あなただけの「台湾の物語」の、最初の1ページ目をどこから書き始めるかを決める、創造的で、とても心躍る行為なのだと私は思います。この記事が、あなたの素晴らしい物語の、最高のプロローグとなることを、心から願っています。どうぞ、最高の旅を!
- 台北のホテル選びは旅の骨格を決める重要な設計工程
- まず同行者、目的、予算の3つの軸を明確にする
- 初心者や女子旅で失敗したくないなら中山エリアが最適解
- 中山は治安、交通、ショッピングの全てがハイレベル
- 子連れ家族旅行なら大安森林公園周辺が静かで安心
- 子供のペースに合わせたゆとりのある旅程が可能になる
- 旅慣れたリピーターには大稲埕での「暮らすような旅」がおすすめ
- 大稲埕では本物の台湾の日常と歴史に触れることができる
- エリア選びは時間効率と体験価値という2つの軸で考える
- 時間効率とはストレスを含めた総合的な時間的コストのこと
- 体験価値とはその場所でしか得られないプライスレスな経験
- 台北駅エリアは空港アクセスが良く早朝深夜便に強い
- 西門エリアは若者向けの刺激的な街だが落ち着きを求める人には不向き
- 2025年からホテルの使い捨てアメニティは原則提供されなくなる
- 台北の新しいホテルではトイレットペーパーは流せるのが主流






