台湾の結婚式に出席する際の服装の基本|親族・友人ゲストの正しい装い方

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台湾結婚式の服装マナー解説🎀

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親しい友人や大切な取引先から、台湾での結婚式の招待状が届く。それは、本当に喜ばしいことですよね。

ただ、喜びと同時に「どんな服装で行けばいいんだろう?」という大きな不安が頭をよぎりませんか。

かく言う私も、10年ほど前に台北での結婚式に初めて招待された時、頭を抱えた一人です。日本の常識は通用するのか、特に気になる服装の色や、親族ではないゲストとしての適切なドレスコード。さらには台湾の伝統衣装を着るのはアリなのか、ご祝儀の相場やマナー、もしプレゼントを渡すなら何が良いのか…疑問は尽きませんでした。

結局、現地の同僚に根掘り葉掘り聞いて、なんとか準備を整えたのを今でも鮮明に覚えています。

この記事は、そんな私の実体験と、その後何度も台湾の慶事に参加して得た知識を基に、あなたが心からお祝いに集中できるよう、服装からマナーまで、全ての疑問に答えるために書き上げました。

記事のポイント

  1. 台湾の結婚式特有の雰囲気と服装の基本がわかる
  2. 男女別・会場別に「これを着れば間違いない」コーデがわかる
  3. ご祝儀(紅包)の相場や渡し方など、お金のマナーがわかる
  4. 当日の流れや注意点がわかり、安心して参加できる
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目次

台湾の結婚式、服装はコレが正解!招待客の完全マニュアル

台湾の結婚式、服装はコレが正解!招待客の完全マニュアル

まずは知っておきたい!台湾結婚式の雰囲気と服装の基本

まずは知っておきたい!台湾結婚式の雰囲気と服装の基本

さて、具体的な服装選び、その前に。少しだけ私の昔話をさせてください。これを理解しておくだけで、あなたの肩の荷がふっと軽くなり、服装選びが何倍も楽しくなるはずですから。もちろん、お忙しい方や「とにかく結論が知りたい」という方のために、具体的な服装の正解はこの後すぐに男女別に詳しく解説しますので、ご安心ください。

あなたが「結婚式の服装」と聞いて思い浮かべるのは、おそらく、厳かなチャペル、静粛な雰囲気、そして細かく定められたドレスコード…といった、少しばかり緊張感を伴う光景ではないでしょうか。ええ、私もそうでした。だからこそ、初めて台北での結婚式に足を踏み入れた瞬間、文字通り、その場の「熱気」に圧倒されてしまったんです。

日本とは違う?結婚式のカジュアルな雰囲気

私が招待されたのは、当時懇意にしていた取引先の、まだ若いエンジニアの結婚披露宴でした。会場は市内の大きなレストラン。扉を開けた瞬間、まず耳に飛び込んできたのは、静かなBGMではなく、大勢の人の陽気な話し声、子供たちのはしゃぐ声、そしてあちこちで起こる乾杯のグラスがぶつかる音でした。

いや、正直なところ、最初は「本当にここで合っているのか?」と不安になったくらいです。日本の披露宴の、あの静かで整然とした空気とはまったくの別物。それは、熱気と活気に満ちた、まるで大きな家族の宴会そのものでした。実際に、台湾の行政院主計総処が行った調査によると、宴席(飲食)にかける費用が結婚式全体の費用の約50%を占めるというデータもあり、いかに「共に飲み、食べること」を重視しているかが伺えます。(参照:行政院主計総処

この光景を目の当たりにして、私は自分が日本の「常識」という鎧を着込んで、いかに身構えていたかに気づかされました。台湾の結婚式におけるマナーとは、形式や作法を重んじるというよりは、そこにいる全員で新郎新婦の門出を心から祝い、楽しむこと。それが何よりの礼儀なんです。だからこそ、服装選びも「減点されない無難な格好」を目指す必要は全くありません。

服装選びで最も大切な「お祝いの気持ち」

この賑やかで温かい雰囲気を理解すると、服装選びの軸は自ずと決まってきます。

結論から言えば、最も大切なのは「あなたの結婚を、私は心から嬉しく思っているよ」という祝福の気持ちを、服装を通じて表現することです。

もちろん、守るべき最低限のラインはあります。それはこの後詳しく解説します。しかし、それ以上に台湾の結婚式で喜ばれるのは、お祝いの場にふさわしい華やかさであり、あなたがその場に彩りを添えようとする心遣いなんですね。

例えば、大切な友人の結婚式に招待された女性であれば、「親友の晴れ舞台だから、私も精一杯おしゃれをしてお祝いしよう」という気持ち。あるいは、会社の代表として出席する男性であれば、「貴社との素晴らしい関係を祝し、敬意を表します」という姿勢。そういったポジティブな感情を、色やデザインに乗せて届けることが、何よりの贈り物になる。私はそう考えています。

筆者

まぁ、かく言う私も、最初は日本のビジネスシーンの感覚で、黒のスーツにシルバーの地味なネクタイを締めていったんです。すると、会場で再会した現地の同僚に「おいおい、今日は仕事じゃないんだぞ!もっとお祝いの色にしなきゃ!」と笑われてしまって。彼の言葉に、ハッとさせられましたね。服装は、単なるルールではなく、コミュニケーションの一部なのだと。あの一言がなければ、私はきっと、祝福の輪から少しだけ浮いた存在になっていたかもしれません。

【男女共通】服装の色は?赤・黒・白の正しいマナー

【男女共通】服装の色は?赤・黒・白の正しいマナー

さて、会場のあの賑やかで温かい雰囲気を掴んだところで、いよいよ具体的な服装選びに入りましょう。まず最初に、そして何よりも先に押さえるべきは、文化的な意味合いが色濃く反映される「色」のマナーです。大げさではなく、ここさえ理解すれば、台湾の結婚式における服装選びの8割は完了したと言ってもいいくらい重要なポイントになります。

お祝いの色「赤」はゲストもOK?

中華圏を旅したことがある方なら、寺院の装飾から街の提灯まで、至るところで「赤(紅色)」が特別な色として扱われているのをご存知でしょう。古くから、赤は幸福、富、そして厄除けの力を持つ、最も縁起の良い色と信じられてきました。そのため、結婚式のような慶事では、会場の装飾、招待状、そして後ほど詳しく解説するご祝儀袋(紅包)に至るまで、このおめでたい赤が空間全体を彩るテーマカラーとなるのです。

ここで、日本人ゲストが必ずと言っていいほど直面する葛藤があります。「日本の結婚式では、純白が花嫁の色とされているように、台湾では赤が主役の色なのでは?ゲストが赤い服を着るのは、主役の特権を侵害するマナー違反にならないだろうか?」という、非常に思慮深い悩みです。私も、もちろん同じことで悩みました。日本ではゲストは控えめな色を選ぶのが美徳とされる文化がありますからね。

これも先に結論からお伝えしますね。ゲストが赤い服を着ることは、全く問題ありません。それどころか、お祝いの気持ちを最もストレートに表現する方法として、新郎新婦やご親族からとても喜ばれます。実際に会場を見渡せば、新郎新婦のお母様や姉妹などが、祝福の意を込めて美しい赤いチャイナドレスを着ている姿もよく目にします。ただし、これは相手を思いやる心遣いの話ですが、花嫁がお色直しで着るであろう、主役級に豪華絢爛なデザインと完全にかぶってしまうようなものは、避けた方がよりスマートでしょう。例えば、ワインレッドやコーラルピンクなど、少し色味をずらしたり、柄物の一部に赤が使われているデザインを選んだりすると、お祝いの気持ちとゲストとしての立場を両立できて、非常に洗練された印象になります。

避けるべき「黒一色」と「白」の服装

次に、絶対に避けるべきNGカラーについてです。これは非常に重要なポイントなので、しっかりと心に留めておいてください。

これだけは避けたいNGカラー

  • 全身真っ黒: 日本のフォーマルシーンでは万能とされるブラックスーツやブラックドレスですが、台湾を含む多くの中華圏では、黒は伝統的に「死」や「悲しみ」「不運」を連想させる色とされています。そのため、お祝いの席で全身を黒で統一することは、最も避けるべきマナー違反と心得てください。もしお手持ちの黒いドレスやスーツを着用する場合は、女性なら明るい色のショールや華やかなアクセサリー、男性なら祝意を示す明るい色のネクタイやポケットチーフを必ず添えて、「これはお祝いの装いです」という明確なメッセージを発信する必要があります。
  • 全身真っ白: こちらの理由は日本と同様で、白は花嫁だけが許された特別な色です。ゲストが純白のドレスやスーツを着ることは、主役の輝きを奪いかねない配慮に欠ける行為と見なされます。オフホワイトやアイボリーといった、白に近い色も紛らわしいので選ばない方が無難でしょう。

言ってしまえば、この「黒一色と白一色は避ける」という二大原則さえ守れば、他の色で大きく失敗することはまずありません。むしろ、日本では少し勇気がいるような鮮やかなパステルカラーや、柔らかなアースカラーなど、多彩な色を自由に楽しむことこそが、台湾流のお祝いの気持ちの表現方法なのです。

【女性ゲスト編】華やかドレスの選び方とコーデ例

【女性ゲスト編】華やかドレスの選び方とコーデ例

色の基本を押さえたところで、特に選択肢が多くて悩みがちな女性ゲストの服装について、さらに詳しく見ていきましょう。大切な友人の晴れの日、せっかくなら「あなたの参列が、式を一層華やかにしてくれたよ」と新婦に喜んでもらえるような、そんな素敵な装いをしたいものですよね。ここでは、マナーを守りつつ、あなたらしいお祝いの気持ちを表現するための具体的なヒントをお話しします。

ドレス選び3つのポイント

これまでに何度も台湾の結婚式に参列してきた妻や、現地の女性の友人たちのリアルな声、そして私自身が会場で見てきた経験を総合すると、日本人女性ゲストがドレスを選ぶ際のポイントは、大きく3つに集約されるように思います。

1. デザインは「少しだけ大胆」が丁度いい
前述の通り、台湾の結婚式は祝祭のような陽気で華やかなムードに包まれています。そのため、日本では「ちょっと派手かな?」とクローゼットの前で躊躇してしまうような、大ぶりのレースやビジューがあしらわれたデザイン、あるいは上品な光沢を放つサテンやシルクといった素材が、現地の雰囲気には驚くほどしっくりと馴染むのです。事実、台湾のファッション誌『VOGUE Taiwan』などが特集するウェディングゲストスナップを見ても、控えめであることよりも、お祝いの気持ちを表現するポジティブな華やかさが重視されているのが分かります。

2. 肩の露出や肌見せは、日本より寛容
日本の、特に格式を重んじる結婚式では、肩の露出を避けるためにボレロやショールが半ば必須アイテムとされていますよね。しかし、一年を通して温暖な気候の台湾では、このルールはそれほど厳格ではありません。特に友人中心の和やかなパーティーであれば、ノースリーブやオフショルダーのドレスで颯爽とされているゲストもごく一般的です。もちろん、ご年配の親族が多く出席される場合や、格式の高いホテルでの式典では、さっと羽織れる上質なショールやジャケットを一枚持参すると、より思慮深い、大人の女性としての印象を与えられるでしょう。

3. 足元のおしゃれも自由に楽しんで
これも日本人ゲストがよく驚かれる点ですが、台湾のフォーマルシーンには「つま先の見える靴はマナー違反」という厳密なルールは存在しません。そのため、ドレスのデザインに合わせて、ドレッシーなストラップサンダルや美しいオープントゥのパンプスを選ぶことも、素敵な選択肢の一つとなります。無理に窮屈なパンプスを選ぶよりも、歩きやすく、あなた自身の気分が上がる一足を選んでみてください。ただし、あくまでお祝いの席ですから、ラフすぎるスニーカーや普段使いのサンダルは場違いになるので避けましょう。

👠小物選びのコツ

アイテムおすすめスタイル
ヒール3〜5cmのパンプス。ピンヒールより太めヒールが歩きやすい
バッグ小さめのクラッチバッグかチェーン付きのミニバッグが便利
アクセサリーパールや小ぶりのビジューなど、派手すぎない上品なデザイン

例えば、パールのネックレスにシャンパンカラーのバッグを合わせると、フォーマル感と柔らかさがちょうど良いバランスに。
雨季にあたる場合は、防水加工された靴や撥水素材のバッグを選ぶと実用的です。

また、現地の披露宴会場はかなり広いこともあるので、「歩きやすさ」は本当に大事。ヒールが高すぎて足が痛くなると、せっかくの料理も楽しめませんからね。

おすすめのコーディネート例

あなたの立場や、お祝いしたい相手との関係性によって、最適なコーディネートは変わってきます。ここでは、具体的なシチュエーションを想定したコーディネートを提案させてください。

【Case 1】親しい友人の結婚式なら:祝福の気持ちを色に乗せて
「親友の幸せな日を、最高の笑顔でお祝いしたい!」そんなあなたには、ピンク、イエロー、ミントグリーンといった、見ているだけで心が弾むような幸福感あふれるブライトカラーのワンピースがおすすめです。膝が隠れるくらいの品の良い丈感で、Aラインやフィット&フレアといった、女性らしいシルエットを選ぶと、誰からも愛されるゲストスタイルの完成です。

手持ちのネイビードレスを活かすなら?
もし、お手持ちの落ち着いたネイビードレスを着る場合でも、心配は無用です。台湾ウェディング仕様にアップグレードする鍵は「小物使い」にあります。例えば、大ぶりのゴールドアクセサリーや、ビジューが輝くクラッチバッグ、そして鮮やかな色のパンプスを合わせるだけで、全体の印象は一気に華やぎます。主役はあくまでドレスではなく、あなたのお祝いの気持ちなのですから。

【Case 2】職場の同僚や上司、親族の結婚式なら:品格と華やぎの両立
少し落ち着きと品格が求められる場面では、ベージュ、ダスティピンク、ライトネイビーといった、洗練されたニュアンスカラーのセットアップやパンツドレスが知的な印象を与え、活躍します。特にパンツドレスは、動きやすさとおしゃれ感を両立できるため、現地でも人気のスタイルです。その際は、揺れるタイプのピアスや、手元にブレスレットを添えるなど、マニッシュな中に女性らしい繊細な輝きをプラスするのが、上級者のおしゃれのポイントです。

私の妻も、初めて台湾の結婚式に参列した際、どの程度の華やかさが正解なのか、かなり悩んでいました。結局、少し光沢のあるラベンダー色のワンピースを選んだのですが、会場で新婦のお母様から「とても綺麗な色ね、遠くからでもすぐに見つけられたわ」と声をかけていただけて、とても嬉しかったと話していました。あなたの服装は、あなた自身が思う以上に、会場の雰囲気を創り、人々を笑顔にする力があるのかもしれませんね。

台湾の結婚式で写真映えする女性コーデのコツ

台湾の結婚式は写真撮影の機会がとにかく多いです。受付前、テーブル周り、フォトブース…あらゆる場面で写真を撮られるので、「写真映え」も服装選びの大切な視点になります。

📸 写真映えのために意識すべきポイント

コツ詳細
色の統一感ワンピースと靴・バッグの色味をトーンで揃えると清潔感UP
柔らかい色合い肌が明るく見え、写真写りが良くなる
小物でアクセントヘアピン、リボン、イヤリングなどでさりげなく個性をプラス
ナチュラルメイク強すぎず、照明の下でも自然な表情に見える

僕の友人女性は、ミントグリーンのドレスに同色のパンプスを合わせていて、会場のライトに映えて本当に素敵でした。
そのまま撮った写真も、加工いらずでキレイに仕上がっていましたよ。

気をつけたいのは「暗すぎる色」や「柄がごちゃごちゃしている服」。写真にすると肌がくすんで見えることもあるので、明るめカラーでまとめるのがおすすめです。

【男性ゲスト編】スーツでOK?親族・上司の服装

【男性ゲスト編】スーツでOK?親族・上司の服装

さて、次は男性ゲストの服装です。特に、会社の代表として大切な取引先の結婚式に参列される方や、普段ファッションにはあまり頓着しないという方にとっては、「とにかく失敗しない、正解だけが知りたい」というのが偽らざる本音ではないでしょうか。ええ、その気持ちは痛いほどよく分かります。私も最初の参列では、会社の看板を背負っているというプレッシャーから、服装選びにはなかなかに神経を使いましたから。

基本は日本の披露宴と同じダークスーツ

まず、安心してください。結論から申し上げますと、日本の結婚式に参列する時と全く同じ、ダークスーツ(濃紺やチャコールグレー)を着用すればまず間違いありません。これは、会社の代表というビジネスの場であっても、親しい友人としての参列であっても共通の、最も信頼できる「正解」です。

もちろん、日本の礼服であるブラックスーツも着用自体は問題ありません。ただし、前述の通り、台湾では黒がお悔やみの場のイメージと結びつきやすいため、もしブラックスーツを選ぶのであれば、合わせるシャツやネクタイでいかに「お祝い感」を演出できるかが、より重要になってきます。もしクローゼットに選択肢があるならば、ブラックスーツよりもダークネイビーのスーツを選ぶ方が、より洗練され、かつ祝意の伝わる印象になるでしょう。

ネクタイや小物選びの注意点

男性の装いにおいて、スーツが「信頼性」を示す守りのアイテムだとすれば、ネクタイや小物は「祝意」を表現する攻めのアイテムです。ここで、あなたの心遣いが試されます。

ネクタイは「白・黒」を避け、光沢のある華やかな色を
日本の慶事では一般的な白ネクタイですが、台湾では主賓クラスや親族の代表者が着ける色、というイメージが強い場合があります。また、黒ネクタイは言うまでもなくNGです。では、何を選ぶべきか。答えは、シルバーグレーやシャンパンゴールド、あるいは淡いピンクやブルー、ラベンダーといった、上品な光沢のある明るい色のネクタイです。これ一本でVゾーンが一気に華やぎ、祝福の気持ちが雄弁に伝わります。

シャツと靴は、清潔感が命
どんなに良いスーツやネクタイを選んでも、シャツがよれていたり、靴が汚れていたりしては全てが台無しです。シャツは、アイロンのかかった清潔な白無地のワイシャツが最も誠実な印象を与えます。靴は、黒の革靴(ストレートチップが無難)を、出発前にピカピカに磨き上げておきましょう。意外と見られているポイントです。

【プラスαの心遣い】ポケットチーフで敬意を示す
もし、会社の代表として、相手方へのより深い敬意を示したいのであれば、ポケットチーフを一枚加えることを強くお勧めします。素材は、フォーマルな場にふさわしいシルクかリネンが良いでしょう。色は、ネクタイの色と合わせるか、清潔感のある白を選び、TVフォールド(四角く畳んで水平に見せる挿し方)のような端正なスタイルで胸元に添えるだけで、全体の印象が格上げされ、「今日の日のために、しっかりと準備をして参りました」という無言のメッセージを伝えることができます。

私が現地の同僚に勧められてピンクのネクタイを締めていった話はしましたが、あれは本当に良い経験でした。ネクタイの色をきっかけに、新郎のお父様から「華やかなネクタイで、場が明るくなるよ。ありがとう」と声をかけていただけたんです。服装は、時として言葉以上のメッセージを伝えてくれるのだと実感した瞬間でした。特にビジネスでのお付き合いであれば、こういった細やかな配慮が、後々の良好な関係に繋がることも少なくありませんからね。

【会場・季節別】ホテルや夏の服装ポイント

【会場・季節別】ホテルや夏の服装ポイント

基本の服装マナーはもう完璧ですね。ただ、もう一歩進んだ「できるゲスト」になるためには、避けては通れない2つの重要な変数があります。それは、現地の「場所(TPO)」「気候(季節感)」です。基本を押さえたら、次はこの2つの変数に対応する術を身につけましょう。これを知っているか知らないかで、当日の快適さと、あなた自身の印象が全く違ってきますからね。

会場の格式に合わせる(ホテル・レストラン)

まず大切なのが、TPOの「P」、つまりPlace(場所)です。招待状に記載された会場名を見て、その場所がどんな雰囲気か、事前にGoogle Mapの写真や公式サイトで少し調べておくだけで、服装選びの精度は格段に上がります。

五つ星ホテル(例:台北文華東方酒店、W 飯店など):
こういった最高級ホテルでの結婚式は、台湾でも特にフォーマルな場と位置づけられます。服装も、最も格式の高いスタイルを意識すると安心です。例えば、大切な友人の結婚式に参列する女性であれば、床に裾がつくほどのロングドレスや、上質なシルクやジャカード生地のセットアップを選ぶと、会場の荘厳な雰囲気に美しく調和します。また、会社の代表として出席される男性であれば、ダークスーツにシルバーのネクタイという王道スタイルに、前述したような上質なポケットチーフを一枚添えるだけで、装いに深みと敬意が生まれます。

一般的なレストランや宴会場(例:海鮮レストランなど):
台湾で非常にポピュラーなのが、レストランを貸し切って行う賑やかな宴会スタイルです。この場合は、ホテルほどかしこまる必要はありません。「スマートカジュアル」を意識し、少しリラックスした服装でも大丈夫です。ただし、Tシャツやデニムといった普段着は当然NG。「親しき仲にも礼儀あり」の精神で、あくまで「お祝いの席に招かれたゲスト」という立場を忘れない服装を心がけましょう。

亜熱帯気候に対応する(夏の暑さ対策)

そしてもう一つの変数、気候。台湾は亜熱帯に属し、年間を通して温暖ですが、特に夏場(5月~9月頃)の高温多湿さは日本の比ではありません。台湾の中央気象署のデータによれば、台北の7月の平均気温は約30℃、平均湿度は75%を超えます。これは、東京の最も蒸し暑い時期に匹敵、あるいはそれ以上です。

私が初めて参列したのも7月で、タクシーを降りた瞬間に、スーツが肌に張り付くようなねっとりとした熱気を感じたのを覚えています。しかし、一歩会場に入ると、今度は強烈な冷房に驚かされます。この「外は灼熱、中は極寒」という極端なギャップに対応することが、台湾の夏を快適に乗り切る最大の鍵なのです。

夏の結婚式、服装で失敗しないための3つの知恵

1. 見た目と機能を両立する「素材」を選ぶ:
男女ともに、見た目のフォーマル感は保ちつつ、通気性や吸湿性に優れた素材を選ぶのが賢明です。女性なら風を通すシフォンやオーガンジー、肌触りの良いリネン混のドレス。男性なら、ウールでありながら軽量で通気性の良い「サマーウール」や、機能性素材のスーツがおすすめです。

2. 汗対策としての「移動着」を用意する:
汗だくのまま披露宴に参加するのは、見た目にも衛生的にも避けたいもの。式場まではTシャツなどの楽な服装で向かい、ホテルの化粧室などでドレスやスーツに着替える「現地集合」スタイルは、実は多くのスマートなゲストが実践している裏技です。

3.「羽織りもの」は夏でも生命線:
屋外の暑さとは裏腹に、会場内は寒いくらいに冷房が効いていることがほとんどです。体温調節のために、女性は必ず上質なショールやボレロ、カーディガンを。そして、暑いからといってジャケットを脱ぎたがる男性も、ジャケットは必ず持参し、式の間は着用するのがマナーです。これは体温調節だけでなく、フォーマルな場での敬意の表明でもあります。

本当に、あの寒暖差は侮れません。私も最初は「夏にジャケットなんて…」と甘く見ていましたが、披露宴の中盤にはすっかり体が冷えてしまい、ジャケットのありがたみを痛感しました。あなたには、そんな思いをしてほしくないですね。

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服装が決まったら!ご祝儀(紅包)の相場と基本マナー

服装が決まったら!ご祝儀(紅包)の相場と基本マナー

さて、お召しになる服装に目処が立ったところで、次なる重要任務はご祝儀の準備です。台湾ではご祝儀を「紅包(ホンバオ)」と呼び、日本とは異なる独特で奥深いルールが存在します。まぁ、正直なところ、お金にまつわる話はいつだってデリケートなもの。しかし、ここをスマートにこなせるかどうかで、あなたのゲストとしての印象も大きく変わってきますから、一緒にしっかりと確認していきましょう。

気になるご祝儀(紅包)の金額相場

ご祝儀の金額を考える上で基本となるのは、「披露宴の食事代 + お祝いの気持ち」という、非常に合理的な考え方です。そのため、金額はあなたと新郎新婦との関係性、そして招待された会場の格式によって変動します。以下に、私がこれまでの経験や現地の友人たちとの情報交換を通じて得た、現在の実情に近い相場観をまとめました。

関係性一般的なレストラン高級ホテル
友人・同僚2,200~3,600元3,200~6,600元
親しい友人・上司3,600~6,600元6,000元~
親族6,600元~(関係の近さによる)

【ご参考】日本円での換算イメージ
為替レートは常に変動しますが、読者の皆様が具体的な金額をイメージしやすくなるよう、注釈を加えさせていただきます。
※本記事執筆時点(2025年9月)のレート、1台湾ドル=約4.8円で換算すると、例えば友人として一般的なレストランの式に参列する場合の2,200~3,600元は、日本円で約10,560円~17,280円に相当します。ご自身の予算を検討する際の参考にしてください。

絶対に守るべき「数字のルール」
台湾では、数字そのものが持つ意味(語呂合わせ)を非常に大切にする文化があります。結婚式のご祝儀で最も重要なルールは、必ず偶数にすることです。これは「ペア」「円満」を意味します。逆に、奇数は割り切れないことから「孤独」を連想させ、お葬式の香典で使われるため、絶対に避けてください。特に「6(六六大順=何事もスムーズに運ぶ)」や「8(発財=財をなす)」が好まれるのは有名な話です。そして、最大のタブーは「4(死と同音)」。このルールを知らずに日本円の感覚で3万円などを包むと、意図せずとも大変失礼にあたる可能性があるので、くれぐれもご注意ください。

ご祝儀袋の書き方とスマートな渡し方

ご祝儀は、「紅包」と呼ばれる、その名の通り真っ赤な袋に入れて渡します。この紅包は、現地の大きな文房具店はもちろん、セブン-イレブンなどの主要なコンビニでも手軽に購入できるので、現地で準備しても全く問題ありません。

書き方:
袋の表面中央に、招待状に記載されている新郎新婦の名前をフルネームで書きます。その右上に少し小さく、お祝いの四字熟語(例:「百年好合」「永浴愛河」など)と、その下に自分の名前をフルネームで添えるのが最も丁寧な形式です。もちろん、「祝 儀 〇〇 〇〇(あなたの名前)」のようにシンプルに書いても問題ありません。


渡し方:
会場の入口に「收禮處」と書かれた受付があります。そこでまず記帳(サイン)をし、その後で受付の方に「恭喜!(ゴンシー!/おめでとうございます!)」と一言添えて紅包を渡します。

ここで一つ、日本人なら誰もが驚くであろう文化の違いがあります。それは、受付係があなたの目の前で紅包の封を開け、中身の金額を確認して帳簿に記録することです。私も最初は「えっ!?」と固まってしまいましたが、これは不正を防ぎ、誰からいくら頂いたかを正確に管理するための、非常に合理的でオープンな習慣なんです。決して失礼な行為ではありませんので、動揺せず、にこやかに見守りましょう。これもまた、貴重な異文化体験の一つですよ。

当日の流れは?受付から退席までの注意点

当日の流れは?受付から退席までの注意点

服装もご祝儀も完璧。いよいよ当日ですね。しかし、ここにも日本との文化的な違いが潜んでいます。これらは、ガイドブックには載っていない、しかし知っているか知らないかで当日の安心感が全く違ってくる「インサイダー情報」です。私が経験した、ちょっとした失敗談も交えながら、当日を誰よりもスマートに乗り切るためのコツをお話しします。

遅刻は厳禁?受付時間のマナー

招待状に書かれた開始時刻。日本の常識で考えれば、「少なくとも30分前には会場に到着し、受付を済ませるべき」となりますよね。私も最初の参列では、きっちり30分前に会場のドアをくぐりました。しかし、そこで目にしたのは、まだテーブルセッティングの最終確認をしているスタッフと、数えるほどしかいないごく近しい親族の姿…。なんとも言えない気まずい時間が流れたのを、今でも苦笑いと共に思い出します。

そうなんです。これは台湾で広く見られる光景で、結婚式は招待状に記載された時間通りに始まることは、まずありません。これは「熱鬧(rènao)」と呼ばれる賑やかさを大切にする文化の表れとも言われ、ゲストが全員揃い、会場が十分に温まるのを待ってから、だいたい30分から1時間ほど遅れてゆるやかにスタートするのが通例です。

だからと言って、大幅に遅れていくのも日本人としては気が引けるもの。会社の代表として出席される方ならなおさらでしょう。そこで、多くの経験者が実践しているベストなタイミングは、招待状に記載された開始時刻の10分~15分後くらいに到着することです。これなら、早すぎて手持ち無沙汰になることもなく、かといって主催者を心配させることもなく、最もスムーズに受付を済ませることができます。

日本と違うお開きのタイミング

もう一つ、日本人ゲストが最も戸惑うのが「宴の終わり方」です。日本の披露宴なら、新郎新婦の退場や両家の謝辞といった、明確な「お開き」の合図があります。しかし、台湾の披露宴には、そのようなはっきりとした区切りがありません。

では、いつ退席すればいいのか?その合図は、コース料理の最後を飾るデザート(フルーツの盛り合わせが多いです)が出された後、新郎新婦と両親が、会場の出口付近に立ち始めた時です。彼らが、帰り支度を始めたゲスト一人ひとりに「来てくれてありがとう」と挨拶をし、お土産のキャンディー(喜糖)などを手渡し始めたら、それが「そろそろお開きですよ」という何よりのサインです。誰かが帰り始めると、それをきっかけに皆がぞろぞろと退席し始めます。この流れに自然に乗るのが、最もスマートな帰り方と言えるでしょう。

台湾では、宴の終わりは少し寂しいもの、という考え方もあるため、明確なアナウンスを避ける傾向があるようです。最後の料理が出されたあたりから、周囲のテーブルの様子を少し気にし始めると、タイミングを逃さずに済みます。決して、新郎新婦がまだ各テーブルを回って挨拶している最中に席を立つことのないように、それだけは注意してくださいね。

【Q&A】伝統衣装(旗袍)やプレゼントは?

【Q&A】伝統衣装(旗袍)やプレゼントは?

さて、この記事もいよいよ最終盤です。最後に、これまでの大きなテーマには収まりきらなかったものの、多くの方が「これって、どうなんだろう?」と疑問に思うであろう、少し踏み込んだ2つの点について、Q&A形式でお答えします。ここをクリアすれば、もうあなたの準備に抜かりはありません。

Q. ゲストがチャイナドレスを着てもいい?

A. もちろん、問題ありません。むしろ、文化への敬意が伝わる、とても素敵な選択です。

親しい友人の結婚式、せっかくなら現地の装いでお祝いしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。チャイナドレス(旗袍)は、現代の台湾においては厳密な意味での「伝統衣装」というよりは、フォーマルな場にふさわしい、格調高いドレスの一種として広く愛されています。そのため、お祝いの気持ちが伝わる美しい装いとして、新郎新婦やご親族からも大変喜ばれることでしょう。

ただし、選ぶ際にはいくつか心に留めておきたい、大人としての配慮があります。

チャイナドレス選びの3つの心遣い

  1. 色を選ぶ: やはりお祝いの色である「赤」や「ピンク」「ゴールド」といった、祝福を象徴する色が最も喜ばれます。逆に、黒地や白地のものは避けましょう。
  2. デザインで敬意を払う: 花嫁のお色直しの衣装と競合してしまわないよう、主役級に豪華な金糸の刺繍が全面に施されたものや、宝飾品がふんだんに使われたものは避け、上品なデザインを選ぶのが洗練されたゲストの選択です。
  3. 品格を保つ: スリットが深すぎるデザインや、ボディラインを過度に強調するようなタイトすぎるものは、フォーマルな場にはふさわしくありません。あくまで「ゲストとしての品格」を保てるデザインを選びましょう。

Q. ご祝儀以外にプレゼントは必要?

A. いいえ、全く必要ありません。むしろ、準備しない方がスマートです。

この点は、日本の文化と大きく異なるため、特に強調してお伝えしたいと思います。日本では、友人同士でお金を出し合ってプレゼントを贈ることもありますが、台湾では、ご祝儀(紅包)がゲストからのお祝いの気持ちのすべてであり、それ以上に品物を贈るという習慣は一般的ではありません。

無理にプレゼントを用意すると、かえって相手に「お返しはどうしよう…」という余計な気を遣わせてしまう可能性があります。また、披露宴当日は新郎新婦も大変忙しく、贈り物を管理する余裕がないことがほとんどです。良かれと思ってしたことが、結果的に相手の負担になってしまうのは避けたいですよね。

もし、どうしても何か記念になる品を贈りたいという場合は、披露宴の当日ではなく、結婚式の前後に、後日改めてお会いした時などに、ささやかなお祝いとしてお渡しするのが良いでしょう。その際は、日持ちのする日本の質の良いお菓子や、かさばらない伝統工芸品など、相手が気軽に受け取れるものを選ぶのが、スマートな大人の心遣いです。

郷に入っては郷に従え、と言いますが、まさにその通りですね。良かれと思った日本の常識が、相手にとっては負担になることもある。お祝いの気持ちは、相手の文化を尊重する形で伝えるのが、一番ストレートに届くのだと、私も多くの経験から学びました。

まとめ:準備OK?台湾の結婚式服装・持ち物最終チェック

まとめ:準備OK?台湾の結婚式服装・持ち物最終チェック

これで完璧!服装の最終チェックリスト

これで完璧!服装の最終チェックリスト
  • 台湾の結婚式は日本よりカジュアルでアットホームな雰囲気
  • 服装選びで一番大切なのは「お祝いの気持ち」を表現すること
  • 女性は明るい色のワンピースやセットアップがおすすめ
  • 男性はダークスーツに華やかな色のネクタイを合わせる
  • 全身「黒一色」や「白一色」の服装は避ける
  • お祝いの色である「赤」はゲストが着てもOK
  • 肩出しやオープントゥの靴も基本的には問題ない
  • 夏場は通気性の良い素材を選び、冷房対策の羽織ものも必須

忘れ物はない?ご祝儀・持ち物リスト

忘れ物はない?ご祝儀・持ち物リスト
  • ご祝儀(紅包)は偶数の金額で用意する
  • 「4」のつく金額は絶対に避ける
  • ご祝儀袋は現地のコンビニや文房具店で購入できる
  • 当日は招待状記載時刻の10分後くらいに到着するのがベスト
  • 明確なお開きの合図はないので周りの様子を見て退席する
  • ゲストがチャイナドレスを着るのも素敵なお祝いになる
  • ご祝儀以外のプレゼントは基本的には不要
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